日本商人が清商に圧倒されている原因は、ひとつは清商の団結力とその目前の利益に拘泥しない商法に勝てないことだといわれていました。
また、日本商人は資力に乏しいから、一度失敗すればそれで直ちに退却せざるをえないということ・・・。
そして、日本の製造元ではまだ信用のない日本商人に売るよりか、清商に安く売っているのが現状であること。
・・・これら3つの原因を指摘した上で、結局、日本商人が香港に進出するがためには、以上の欠点を矯正せねばならないことを力説した人がいます。
商売は
「一朝一夕ニシテナルモノニアラズ。
又少額ノ資本ヲ以テ目的ヲ達シ得ベキモノニアラズ。
先ツ其ノ基礎ヲ香港ニ定メ、実地経験アルモノヲシテ
見本物品ヲ携へ各地ニ出張シテ其ノ需要ノアル処ヲ視察シタル上
機ヲ失スルコトナク本社ニ通報シ
以テ其ノ仕入方ノ指揮ヲ行ハシムルコトハ先ツ其ノ手順ノ第一着ナリ」・・・。
マーケッティングの大切さを説いた鈴木領事のこの忠言は、いまでも通用する商売の正道です。
ただ、最後に物流センターと三井物産香港支店の石炭輸入の例をひいて、日本人の進出のためには三井のような方法をとるのが最善策であることをほのめかしていることは注目すべきでしょう。
明治21年中、香港に輸入せられた石炭の総額は34万8670トンで、そのうち日本からの輸入は29万9300トンに上り、総額の実に80パーセントを占めています。
しかも日本からの輸入は殆ど日本人の手を経たものであって、従って香港貿易のなかで日本にとって最大の利益をあげているのは、この石炭です。
このように石炭の利益を日本が独占することができた理由は、その業に当るものの資本が大であって、その局に当るものの任務に適しているためである、としていました。